商品紹介
アート・ガーファンクルとの久々の共演が実現した「My Little Town」の話題も手伝い、サイモンのアルバムの中でも商業的に最も成功しグラミー賞にも輝いた1975年作品。ジャケットのイメージそのままに、サイモンのニューヨーカーとしての側面が堪能できる傑作といえるだろう。
ニューヨークのジャズ~フュージョン・シーンの売れっ子ミュージシャンを贅沢に配した都会的で洗練されたサウンド・プロダクションが、サイモンの紡ぎ出す繊細かつ豊かなメロディ・ラインを優しく包み込む。ウディ・アレンの映画を思わすようなストーリーテラーぶりも秀逸だ。アルバムの中でも特にNYを想起させるタイトル曲が、実はマッスル・ショールズのリズム隊による演奏というのも面白い。(木村ユタカ)
ユーザーレビュー
紡がれた10編の、モノクロームの短編小説。 
ソロになってからのポールは、「ひとりごと」「グレイスランド」など、様々な民族音楽を大胆に取り込み、自身の血肉にした上で、アルバムごとに大胆に表現してきた。まさにワールドミュージックの先駆者たるべき輝かしい歴史があり、きらびやかなサウンド・プロダクションこそ得意としてきたアーチストである。
しかしながら今作は、ニューヨーカーとしての資質が前面に出た、都会に住む者の視点から紡がれた、モノクロームな10編の短編小説といった趣のアルバムに仕上がっている。前作「ひとりごと」が原色の色鮮やかなポップアートだとすれば、今作はモノクロの芸術写真に例えられるだろう。腕利きのミュージシャン達が奏でる、極端に音数を減らしたシンプルな演奏が心地良く、ちょっと洒脱なジャズ・バーかどこかで、グラス片手に生演奏を聴いているかのようか感覚が味わえる。モノトーンだが決して地味ではない、渋く深〜いアルバム。グラミーのアルバム・オブ・ジ・イヤーなのも頷ける、秀逸な作品だ。
久々のS&G名義となった(2)「My Little Town」も、話題性とは関係なく、ほろ苦い感傷がヒリヒリと残る作品であり、このアルバムのテーマにマッチしている。M・ブレッカーのサックスが冴えるジャージーなタイトルトラック(1)、S・ガッドのドラムパターンも斬新な全米NO1ヒット(4)、P・スノウとの絶品のデュエット(6)をはじめ、カラフルな前作からガラリと趣を変えながらも、アーチストとしての絶頂期にあった今作も、駄作・捨曲の一切無い完璧なアルバムだ。
ポールの代表作でありながら、彼の歴史の中ではこの路線の作品は他になく(近いのは「Heart And Bones」くらいか?)、ある意味では異色作かもしれないが、これも星5つ以外はありえないアルバム。
ジャズ/フュージョン系の音に洒落た映画か短編小説のような歌詞をもつ名盤 
このアルバムは、サイモンにグラミー賞をもたらした。しかも、このアルバムに収録の“50 Ways to Leave Your Lover”はビルボード・チャートの1位に輝いた。誰もが認める名盤である。前2作で様々な音楽ジャンルに挑んだサイモンは、このアルバムに取り組む前にジャズの作曲法をあらためて一から学んだという。その結果出来上がったのが、ニューヨーカーらしいセンスにあふれたこのアルバムである。サウンド的にはやはりジャズ/フュージョン系の色が濃い。歌詞も、タイトル曲や前述の“50 Ways to Leave Your Lover”、“I Do It for Your Love”など、洒落た映画の一場面か短編小説を思わせる味わい深いものが多い。
タイトル曲と“50 Ways to Leave Your Lover”はサイモンのベスト盤には不可欠の有名曲。“Have a Good Time”もしばしばベスト盤に含まれる。“Gone at Last”はいかにもゴスペルという曲で、今回ボーナス・トラックとして加えられたアレンジの異なるデモ・ヴァージョンも聴きもの。“My Little Town”ではアート・ガーファンクルと共演しているが、これはもともと、ソロになってから甘ったるい歌ばかり歌っていたガーファンクルに向けて、なまくらと化した彼を刺激して以前の若々しさや鋭さを取り戻させようとサイモンが作った、詩的センスと鋭敏な知性を盛り込んだ辛口の歌。そして、なぜかサイモンのベスト盤に含まれることはないが隠れた名曲と言えるのが、“I Do It for Your Love”だ。トゥーツ・シールマンズのハーモニカが聴けるこの曲は、ビル・エヴァンズが_Affinity_というアルバムでそのシールマンズとの共演でカヴァーし、その後もライヴで演奏し続ける愛奏曲となった作品である。最近では、ハービー・ハンコックの_Possibilities_というアルバムで、サイモン自身が共演しさらにジャズっぽいアレンジで歌ってもいる。ジャズ・ミュージシャンからこれだけ評価されればサイモンも本望だろう。(そういえば、タイトル曲もブラッド・メルドー・トリオによってカヴァーされている。)
時の流れの外に位置を占める 
サイモンの伸びやかな確信に満ちた(かといって押し付けがましさのない)声を聴くと、私は学生時代へトリップしてしまう。懐かしさ充溢の一枚だが全く古びていない。本作では都会人としてのセンスのよさと曲作りへの妥協の無さが強く感じられる。肩に力は入っているか。いやなで肩だ。すべてがさりげなくこだわって作られているように聴こえる。アーティを呼んで歌った名曲「マイ リトル タウン」など聴くとアートの声がこの歌にぴったりだから一緒に歌ったのであり、ただの友情の発露からゲストに呼んだのではないことがよく解る。まとまりある佳曲揃いだ。詞作も光る。歳も取らない老いもしない不思議な位置を占めるアルバムである。ポールには生涯、我々をSURPRISEさせてくれることを願いつつ、今後の活躍及び長寿を祈る。
Still crazy after 30 years 
フィル・ラモーンとの全面コラボによる、ニューヨークの香りブンブンの作品。
バックには同年“スタッフ”としてデビューする、NYの凄腕ミュージシャンが努め、フィービースノウ参加の6やトゥーツ・シールマンス参加の5もすばらしいが、何より1のタイトル曲は最高。発売から30年以上たった今でも、私にとってのベストソングの1曲だ。
ソロ1枚目はジャマイカやパリ、2枚目はアラバマのマッスル・ショールズやロンドンとニューヨーク以外でのレコーディングも含んでいたが、今回はどっしり腰をホームグランドに落ち着けて作りましたという統一感がある。S&Gによる“マイ・リトル・タウン”もアーティのアルバムよりこちらのほうがしっくりくる。
間違いなくソロ・キャリアにおける頂点 
Paul SimonあるいはS&Gのファンとしてはいろいろ好みもあろうが、トータルなアルバムとしての完成度は、Simonのソロ・キャリアでも最高の傑作である。何しろ収録曲のクォリティが圧倒的に高く、特にLPでのA面に相当する前半はため息すら誘う出来。これらの曲はモダン・スタンダードと呼ぶにふさわしい名曲群である。東海岸の名うてのセッションマンをバックに、あるときは渋く、あるときはファンキーに見事なまでに演奏と歌唱を交錯させたアレンジも素晴らしい。NYCの息吹を感じさせるようなアルバム。
関連商品