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早川書房

アルベール・カミュ (1) カリギュラ (ハヤカワ演劇文庫 18)

オススメ度: 5/5 Point(s)

文庫: 在庫あり。

発売日: 2008-09-25 ASIN: 4151400184

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ユーザーレビュー

しっくりこない言葉 3/5 Point(s)

カリギュラはとても好きな作品で、新潮版をすでに読んでいます。
で、興味があったので読み比べてみました。
感想としては言葉のまわし方が現代的過ぎて、迫力が落ちているように思います。
暴君と呼ばれたローマ皇帝が、現代的な言葉で話すんでは少し違和感が生まれます。
ハヤカワ「〜するんだ」 新潮「〜するのだ」
例えば暴君と言われる皇帝の前で、一人称が「俺」の臣下がいるでしょうか。
そんな言葉のまわし方の面で新潮版に見劣りしてしまいます。

不可能性への挑戦 5/5 Point(s)

愛する妹の死を体験し、人間存在の不条理に直面した皇帝カリギュラ。

「俺は月が欲しい。」

不条理への挑戦を誓ったカリギュラは不可能性の克服によって、
真の自由を獲得することを目指す。

その手を鮮血に染めながら、残虐極まる殺戮を繰り返し、
神々を冒涜することで、それらの超越を目論む。
それらは全て、真の自由を獲得するための已むに已まれぬ行為だった。

しかし、ついに月は手に入らない。

こうして不可能性への挑戦は挫折し、カリギュラは敗北していく。

小栗ファンならずとも! 5/5 Point(s)

まちがいなく日本の演劇史に残るであろう、2007年の傑作舞台「カリギュラ」
(作=カミュ、演出=蜷川幸雄、主演=小栗旬)の原作が、ようやく出ました。

これは紹介文にあるとおり、カミュ自ら『異邦人』等とあわせて「不条理の三部作」
と名づけたという、いわくつきの作品。
そして翻訳は、舞台台本の翻訳を担当した岩切正一郎さんーー
とくれば、もう読むしかないでしょう。

みずから「神」を演じることで世の不条理に戦いを挑む、美しき残虐王カリギュラ。
カリギュラに対するクーデターの首謀者となる、知的でクールな文人貴族ケレア。
父を殺したカリギュラを憎みきれず苦悩する、ピュアな少年詩人シピオン。
自分を奴隷の身分から解放してくれたカリギュラを慕う、野性味あふれる忠臣エリコン。
そして、時に母のようにカリギュラを諭し支える、年上の恋人セゾニア。

カリギュラの残虐非道ぶりにただ取り乱し、保身に奔るばかりの側近たちのなかで、
この4人だけが、カリギュラの残忍さが「仮面」にすぎないこと、
そして仮面の下にある彼の素顔を見ぬいています。
そしてそれぞれのやり方で、彼らはカリギュラを理解し、愛するのです。

気になる訳文は、一部変更が見られるものの、ほぼ舞台と同じ。
(DVD版に照らしてみましたが、活字で読んでも違和感のないように
調えられた個所が、多少ある程度です。)
新訳ブームの火つけ役となった某文庫のキャッチフレーズではないですが、
登場人物たちが「いま、息をしていることば」で語る、みずみずしい翻訳です。

岩切さんの「訳者あとがき」もステキです。舞台のリハーサルの様子も紹介されていて、
小栗君たちとのやりとりを通じて、キャストの皆さんの熱意が伝わってきます。

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